スマートウォッチの新たな可能性:作りながら考えるプロトタイピング

OUTLINE

IDLは、グループ企業が運営するメディア「GIZMODO」の編集部から依頼を受けてスマートウォッチの様々なケースをプロトタイピングしました。これは、スマートウォッチのカスタマイズ性を見せ、従来の利用方法にとらわれない新しいガジェットとして読者に提案することで、GIZMODOならではのコンテンツを制作することを目的としています。

短期間でのプロトタイプ作成が求められた本プロジェクトでは、実際に作りながら探索するデザインリサーチを実践し、3Dプリントを活用して多様な利用シーンに合わせた3種のカスタマイズケースを作成しました。ユーザーのイマジネーションや「ものづくり」への意欲を喚起し、新たなガジェットとしての可能性を追求しました。

GOAL

既存のスマートウォッチユーザーの不満やニーズを調査し、それを解決する漸次的なアプローチではなく、今は未だないものを編集者とデザイナーが発想し、具体的なカタチ(プロトタイプ)をつくることを目指します。これにより、

  • こうすればもっとよくなる:編集者やデザイナーが発想したユースケース(初期仮説)に対する、より具体的なフィードバック
  • こういう使い方もありそう:編集者やデザイナーの発想を超えたユースケース(より拡張された発想)を喚起するインスピレーション

といった幅の広い議論が起こり、さらなる検討を建設的に進めるデザインリサーチの営みの一環として捉えることができます。

かつ、制作したプロトタイプをオンラインメディアの動画コンテンツとしてアウトプットすることで、エンターテインメント性のある“リサーチツール”、すなわち視聴者の反応を得るための資料としても活用できます。

PROCESS

スマートウォッチの多様な機能に基づいた新しい使用法や意味を探求するため、以下のプロセスを実施しました。

  1. スマートウォッチの機能の理解・再解釈
    • 既存の機能や従来の使用方法にとらわれず、新たな活用方法のヒントとなる情報を広範囲に調査しました。
    • スマートウォッチの各機能が、様々な文脈でどのように活用できるのかを探究しました。
  2. デザインコンセプトの創出
    • 1.で得られた知見をもとに、スマートウォッチの新たなデザインコンセプトを複数提示しました。
    • クライアントと議論を行い、ユーザーの生活をより豊かにするという観点からデザインコンセプトを選定しました。
  3. プロトタイプ開発
    • 選定したコンセプトをもとに、3Dプリンターを用いて具体的なプロトタイプを作成しました。
    • 各プロトタイプの機能性と実用性を検証し、改良を重ねました。

このプロセスを通じて、迅速なプロトタイピングとプロダクトデザインの専門知識を活かし、短期間でスマートウォッチの新たな活用方法を提案することができました。

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OUTPUT

本プロジェクトの成果として、3つのカスタマイズケースを開発しました。

  1. サイクリンググローブマウントケース
    • サイクリング時のハンズフリーナビゲーションに特化したデザインです。
    • スマートウォッチをサイクリンググローブに固定することで、サイクリング中のナビゲーションが安全に行えるようにしました。
    • スポーツシーンにおける利便性を強調し、安全性と機能性を両立させました。
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  2. 懐中時計アダプタケース
    • クラシカルな懐中時計風のケースで、フォーマルな場面での使用を想定しています。
    • ジャケットのポケットに入れられるため、スマートウォッチらしさを隠しながらエレガントに利用できます。
    • 伝統的なアクセサリーの魅力と最新技術の融合を実現しました。
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  3. フラッシュライト変換ケース
    • ケースを透明にすることで、スクリーンライトをペンライトとして使うことができます。
    • ライブ会場などにおいては電源をOFFにしなければならない、ある種の“邪魔者”であるスマートフォンやスマートウォッチを、その場に適応できる存在に変えることを目指しました。
    • ライブやイベントといった暗所でのアクセサリーとして活用できるようにすることで、時計としての役割を超えたスマートウォッチの多用途性を表現しました。
    • スクリーンライトという既存の機能を再解釈し、新たな使用方法を提案しました。
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これらのプロトタイプを通じて、スマートウォッチのカスタマイズ性やデザインの多様性を強調するだけでなく、短期間でのプロトタイプ制作を実現し、クライアントの要望に応えることができました。また、ユーザーに新しい体験価値を提案し、「ものづくり」への意識を刺激することで、スマートウォッチをより身近で多機能なデバイスとして再定義することに成功しました。

REFLECTION

「作る」という行為を通じて、曖昧だった考えや漠然としたモヤモヤが次第にクリアになり、新たな問いや発見に繋がることがあります。

私たちはこのプロセスを「Making & Meaning」と呼び、商品やサービスの開発をご支援する際の重要な価値観として掲げながら、日々クライアントをサポートしています。

作る対象は多岐にわたりますが、今回ご紹介した事例や以下の事例のように、実際の製作や検証も可能です。

関連事例:
SOAPRISE!
Ubiquitous Green Energy

「Making & Meaning」にご興味のある方は、ぜひ私たちと一緒にアイデアを具現化し、世の中に新たな価値を提案していきましょう。

MEMBER

Project Supervisor:野坂 洋
Design Engineer:阿部 俊介
Design Engineer:IDList Alumni

RELATED SERVICE

Making and Meaning
https://idl.infobahn.co.jp/service-papers/making-and-meaning

CLIENT
株式会社メディアジーン
YEAR
2023年